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78:カント登場の必然性

第78話
カントの評価 

イマヌエル・カント(1724年--1804年)は,近代において最も影響力の大きな哲学者で,『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し,批判哲学を提唱して,認識論における,いわゆる「コペルニクス的転回(すなわち,「認識が世界を構成する」)」を提唱した.

そうなると、このブログ的には
  • カントの行なったことは、結局、何だったんだろう?

を総括したくなる。

これを考えよう。 
カント以前

すべては次のデカルト図式(1637年)から始まった。
Decartes12.jpg

そして、「物」の方で、ニュートンが図抜けた仕事(プリンキピア:1687年)をした。 これには誰もが驚愕した。事実、
  • ニュートン力学は世界を動かした


次は、

人間知性論;ジョン・ロック(1689):序文より

学会は今日、比類ないニュートン氏のような巨匠を生む時代。 こんな時代に地面をすこし掃除して、下働きができれば、もう大望というものです



という「謙虚」な出だしから始まる「認識論」の誕生である。 哲学者の「謙虚さ」を額面どおりに信じる者はいないだろう。 すなわち、デカルト図式の「物」の部分では、ニュートンにしてやられてしまった。 しかし、ロックは、
  • デカルト図式の「我」の部分では、自分が頂上を極める

と考えたに違いない。 ロックに反論したライプニッツの「新知性論(1703年)」だって、ニュートンを意識していないわけがない。というより、ニュートンだけを意識していたかもしれない。
こうして、「ロック vs. デカルト・ライプニッツ」、すなわち、
  • イギリス経験論 vs. 大陸合理主義

の構図が出来上がって、「認識論・哲学」が盛り上がった。 そして、バークリー、ヒュームと繋がった。


カント登場

しかし、そろそろ
  • 認識論の賞味期限が切れ掛かっていた

のだと思う。「認識論」は元々なくても良かった哲学であることに一般の哲学愛好者たちが気付き始めたのだと思う。 すなわち、
  • 世界が動かないじゃないか? 300年早すぎたのでは?
    そもそも、「認識論」って重要なのか?

または、
  • ニュートン力学(プリンキピア)は、ライプニッツ、ベルヌーイ、オイラー、
    ダランベール、ラグランジュ、ラプラス等によって、進化しているではないか

である、 そうならば、
  • 誰か、「認識論」を上手く収束・収拾させてくれ!

が時代の空気だったとして、そこで、、
  • カント登場

である。そうならば、カントが『純粋理性批判(1781)』、『実践理性批判(1788)』、『判断力批判(1790)』と続けた理由がわかる。

そして、この「認識論からの解放」によって、
  • (世界記述の)哲学は、「マジックワードの哲学」に繋がった

すなわち、
  • ベンサム(1789年):「最大多数の最大幸福」
  • ヘーゲル(1770年-1831年):[正反合(弁証法)]
  • ダーウイン(1809年-1882年):「適者生存」
  • ニーチェ(1844年-1900年):「神は死んだ」
に繋がった(第82話「進化論・弁証法」参照)。 事実、
  • 彼等のマジックワードは時代を動かした

と思う。


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「ともかく、統合・完成という体裁で、終わらせてくれ」という空気ですね、そうならば『純理』に対する当時のチェックが甘かった理由もわかりますね。
  • 恋は始め方よりも終わらせ方のほうが難しい

と同じことだとしたら、やはり、 カントは偉大ですね。 


人の心を動かすのは、
  • 「理路整然とした弁論」よりも
    「一発ギャグ(アフォリズム=箴言)」


ということでしょうか? このブログと真逆の立場ですが、この気持ちはわかります。
  • 「マジックワードの哲学」は永遠

でしょうね



科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)