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6:科学と統計学;量子言語;

第6話
古典力学的世界観=統計学
ここまででも何度か述べたが、アリストテレスの三段論法を現代に受け継いだのは、数理論理学ではなくて統計学である。 
すなわち、
  現代の論理学は、統計学である。  

たとえば、
  • 病気のとき、「熱があるか、否か」を議論するのが論理で、「熱が36度5分ある」と議論するのが統計学である。 したがって、「論理学」は「雑な統計学」である と言える。 事実、論理の重要さを強調する学問は、精密な測定が難しくて定性的な議論がメインの学問に多い。 理系ではあまり論理の重要性を強調しない。 ブール代数(論理計算)より、小学生の四則演算の方が精密という当たり前のことを言っているだけであるが。 それにしても、

    真逆の悪しき迷信「論理学は厳密で、統計学はラフ」 

    によって、どれだけの学生が無駄な時間を費やしたことだろうか。

もちろん、
  • 天気予報、株価の予測、ロボットの制御、指紋照合、DNA鑑定、感染症の予測、
も統計学である。 当然のことであるが、
統計学は、科学史上最も役に立つ理論 
である。
上の議論では、数理論理学の「数学の基礎付けという側面」を故意に言及しなかったが、数理論理学は実社会では役に立たない学問で、何十万人(or, 何百万人)に一人という特殊な人がやればいいという学問だからである。 この分野には、99%の数学者も本気の興味は持っていない。

統計学の大成功

さて、

(A): 古典力学的世界観とは、 「『微分方程式と確率』(=『統計学』)で世界を記述せよ」である

そして、
  • 古典力学的世界観は、現代科学に君臨している

すなわち、
  • 統計学は、現代科学の基盤を形成している。

と言ってもいい。  すなわち、 統計学は諸科学を記述する言語であって、
(B): 図示すれば(第2話「世界記述主義」参照(D))、
  • ①:日常言語的
    山勘・占い
    ②:世界記述
    統計学
    ③:諸科学
    推定・制御


となる。
そうだとしても、 実は、
  統計学は、「日常言語の中に埋没した数学(確率論+微分方程式)」という形式で提示されているので、その枠組みが明確ではない。 すなわち、「統計学とは、何か?」とか「統計学と数学の線引き」が曖昧になっている。


一方、量子力学的世界観は 第4(上)話「測定理論のすべて」の(D)で述べたように、

(C):量子力学的世界観とは、 「『量子言語』で世界を記述せよ」 である


第4(下)話「言語ゲーム」の(G)で述べたように、
(D): 図示すれば、

①:日常言語的
山勘・占い
②:世界記述
量子言語
③:諸科学
推定・制御


となる。

統計学と量子言語は、出自が違うが、同じ役目「諸科学の記述」をする。 だからこそ、
  • 統計学 vs. 量子言語

として、雌雄を決する運命にある。

(E): 伝統的な世界記述の哲学との対応表
第2(下)話「世界記述主義」の(E)で述べたことであるが、再度、

  •   特に、統計学量子言語に注目して  

次の対応表を見てもらいたい。


 (E1):キーワードの対応表:イデア論・アリストテレス・デカルト・ニュートン・ロック・バークリー・カント・統計学・量子言語
第2(下)話「世界記述主義」の(E)参照
イデア論現実界 イデア界 /
アリストテレス/   /      形相(質料)
スコラ哲学後の普遍 前の普遍 内の普遍
デカルト心・我 身体・感覚器 (物)
ニュートン/  / 状態(物=質点)
ロック/ 第二次性質 第一次性質
バークリー測定値 第二次性質
カント現象 知覚 物自体
統計学標本   / パラメータ(母集団)
量子言語測定値    観測量・測定器   状態(システム)

ここで、
(E2): 二元論的観念論の肝である「イデア」に相当する概念を、統計学は持たない。 三つのキーワードを持ち、しかも数量表現可能なのは、量子言語だけである

ことに注意せよ。

結局、何が言いたいのか?
   世界記述のすべての哲学史の検証・総括 

上の議論を「世界記述法」の言葉で言おう。
古典力学的世界記述法を信じるならば、 世界記述法の分類は次のようになる。
(F): 世界記述法の分類

{実在的世界記述法
言語的世界記述法
・・・物理学 
・・・統計学


一方、量子力学的世界記述法の優越性を信じるならば、世界記述法の分類は次のようになる。
(G): 世界記述法の分類
{実在的世界記述法
言語的世界記述法
・・・物理学 
・・・量子言語
 第4(下)話「量子力学」の(B)参照
となる。
したがって、「結局、何が言いたいのか?」と問われれば、このブログでは、

  •  「(F)(=(B)) vs. (G)(=(D))」を議論して、
    (G)の優越性を主張する
     


となる。
(G)の優越性を信じなければ、上の(E2)で述べた理由で、下図が主張できない:

したがって、このブログでは、
  •  (G)の優越性を信じて、 世界記述のすべての哲学史の検証・総括 

をする。

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統計学を使わない科学なんて皆無なのだから、結局、

  • 科学とは、統計学で記述すること 

と言ってもいいほどで、「統計学、 恐るべし」ですね。
  • 統計学は、科学史上最も役に立つ理論 

ということですね。 

したがって、第1話の主張③〈量子言語は、科学史上最も役に立つ理論〉のためには、量子言語が統計学を飲み込むことを示せば良い。 実は、その通りで、 上の(C)のような事情があるにしても言い切ってしまえば、

(H): 統計学  $\subsetneq$ 量子言語
(量子言語の「二元論的言語構造」を「一元論もどき」にぼやかしたのが統計学)

なのですが、「広ければよい」だけでは済まない議論もあるわけで、すなわち、
  • 格好よくなければならない

わけです


科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)