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科学哲学:量子力学の観測問題・解釈問題


第1話 科学哲学としての 測定理論(=量子哲学、量子言語)

測定理論(=量子哲学、量子言語)は, 「諸科学を記述するための特製の言語」であって、科学哲学史(=世界記述史)において下図で示した位置にある。


この図からの必然として、次の特徴を持つ:
(A1)(=図の⑦):
測定理論(=量子言語)は、「量子力学とは何か?」に答える挑戦の一つである。  すなわち、量子力学の観測・解釈問題の解決を目指す
(A2)(=図の⑧)
測定理論(=量子言語)は、世界記述の哲学(二元論的観念論)の最終形態である(大きな物語の終焉)
(A3)(=図の⑨):
測定理論(=量子言語)は、科学哲学の一つの分野で統計学と量子力学を合わせたのと同程度以上に役に立つ理論である。

を主張する。 もちろん、最重要の主張は「役に立つ(A3)」で、(A1)と(A2)は二義的な副産物である。重要さを順序付けするならば、
(A3) >> (A1) ≒ (A2)

でしょう。 しかし、ブログ向きなのは(A2)なので、このブログの興味は(A2)の部分に集中します。 すなわち、
測定理論(=量子哲学)の視点から、世界記述の(すべての)哲学を総括したい

と思っています。 「世界記述の哲学=科学哲学」と考えるので、
  科学哲学史

がテーマとなります。 このブログで明らかにされることですが、これは、測定理論の視点からの
(B):二元論的観念論(=哲学の本流)の歴史

の検証・総括 とほぼ同じです。
このようなことが可能な理由は、第4(下)話「量子力学とは何か」に書きます。 また、(A2)の議論の中で、(A1)と(A3)の気分も自然と伝わるはずです。
最重要人物は、
ピタゴラス、パルメニデス、ゼノン、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、 アリスタルコス、エラトステネス、アウグスティヌス、トマス・アクィナス、オッカム、 ガリレオ、ケプラー、ニュートン、デカルト、ライプニッツ、ジョン・ロック、 バークリー、ヒューム、カント、ベンサム、ヘーゲル、ラプラス、フレーゲ、 カントール、アインシュタイン、ハイゼンベルグ、ウィトゲンシュタイン、 ボルン、シュレーディンガー、フィッシャー、フォン・ノイマン

等で、「量子言語」にとっては、誰一人として欠かせません。 通常は、

(C1):「二元論的観念論」など、科学が未発達の時代の妄想的産物で、現代的には歴史的・文献的意義しかない。 もはや、
 絶滅危惧種状態 

である(第54話「二元論・観念論に対する誤解」

と思うのが普通でしょうが、このブログでは、

(C2):「二元論的観念論」が、現代科学の中心に居座っている

と主張する。

どの分野でも同じ事情と思うが、その分野を紹介している本は、さもその分野が非常に重要で、しかも今も大発展していて将来性も十分あるように書かれている。 もちろん、実際に発展している分野もあるだろう。 しかし、大抵は「もう既に終わった分野」もしくは「現在は発展が停止して将来的にも展望が開けてない分野」と思った方いい。 魅力的な分野がそこら辺にゴロゴロと転がっていると考えるのは楽観的過ぎる。 もちろん、誰もが知りたいのは、「現在は発展が停止していても、将来的には非常に有望な分野」であるが、これを見極めることは至難の技で、結局は、「やってみなければ、わからない」のかもしれない。 さて、このブログでの我々の興味は、停滞している次の三つの分野:
(D1):量子基礎論,     (D2):(科学)哲学,    (D3): 基礎統計学,


であるが、
これらの分野(D1)-(D3)の現状はかなり微妙かつ困難な状況にある

と考える。
(D1)は、「20世紀は『量子力学の応用の時代』だった」という歴然たる事実が迷彩になっていて、量子基礎論の現状が見えにくくなっているが、やはり「量子力学の基礎の部分」は停滞していると考える。100年近く、「コペンハーゲン解釈」の意味が曖昧・不明のままで放置されている現状を直視すれば、停滞していると言わざるを得ない。  「波束の収縮問題」が未だに解決されていない(量子言語的解決は「射影仮説のページ」参照)、すなわち、
  • 「フォン・ノイマン〈量子力学の数学的基礎(1932年)〉以来、一歩も進歩していない」
を極論とは思わない(Bellの不等式は偉大な成果であるにしても、結局は「ボーアの言ったこと」を確認したに過ぎない。量子コンピュータも量子基礎論としてはフォン・ノイマンで十分である)。基礎量子論のテーマは、結局は「コペンハーゲン解釈とは、何か?」に答えることに尽きると考える。
(D2)「【科学】をテーマとする哲学」は悪くはなかった。 というより、 このテーマは、「西洋哲学の本流であり、しかも哲学の唯一のまともなテーマ」である。(このブログを読み進めれば了解してもらえることであるが、「このテーマ以外の哲学は結論が出るわけがない問題をああだこうだと雑談しているだけ」と思う。) しかし、「科学哲学」は数量的議論を回避して、悪い意味での哲学的考察(非数量的議論)に終始してしまったので、文芸的・教養的になってしまって、発展が停滞してしまった。事実、「科学と疑似科学の間の線引き問題」に興味を持っているまともな科学者など一人も知らない。
(D3)は、もっと見えにくなっている。「統計学は最強の学問」で、 「諸科学とは、諸現象を統計学で記述すること」は一理あるにしても、統計学とは、統計的手法の寄せ集めのようなもので、その芯が見えない。 すなわち、
統計学の基盤は磐石とは言えない

と考える。 たとえば、「統計学は数学なのか? または『別の何か』なのか?」とか、更に長年の問題である:

確率とは、何か?

は未解決のまま放置されている。 また、
「頻度確率派 vs主観確率ベイズ派」の意味不明な対立構図が流布されている

応用統学の目覚しい拡大的発展に反して、 統計学の基礎の部分は停滞していると言わざるを得ない。
もう一度念を押すと、上記の三つの分野(D1)-(D3)は停滞している。 しかし、内向きの研究姿勢では、スピード感も麻痺してしまって、停滞していることも実感できないのだと思う。 

そうだとして、このブログの目的は、
「問題(D1)-(D3)は同じ問題である」 ことを示すこと 


すなわち、

「量子言語」という一つのアイデアで、 三つ分野(D1)-(D3)に、同時に ブレークスルーを起こすという夢を語る 
再掲すると、右図: を明らかにする。
意外と思うかもしれないが、「(D1)=⑦=(A1);、(D2)=⑧=(A2)、(D3)=⑨=(A3)」は、世界記述というくくりの中では同一問題である(共通の目的は、世界を記述すること)」ことに注意してもらいたい。 そして、この夢に対する検討を一般に広く促すことが、我々の目的となる。  とは言っても、小難しいことを書くつもりはないので、軽い気持ちで、
予備知識は一切不要で、ドンドン読み進めること

を薦めたい。 量子力学の予備知識も不要です。 測定理論(=量子言語)の主張(上の(D1)-(D3))は、
  • 測定理論がわかれば、自然に統計学や古典力学や量子力学がわかる
からです。二元論的観念論(「プラトン⇒デカルト⇒カント」の系譜)の予備知識も必要ありません。 原子論を知るためにデモクリトスを読む必要がないのと同じで、 哲学と哲学史を混同してはならない。 当然のことですが、


科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)