科学哲学:量子力学の観測問題・解釈問題
第1話 科学哲学としての 測定理論(=量子哲学、量子言語)
測定理論(=量子哲学、量子言語)は, 「諸科学を記述するための特製の言語」であって、科学哲学史(=世界記述史)において下図で示した位置にある。

この図からの必然として、次の特徴を持つ:
- (A1)(=図の⑦):
- 測定理論(=量子言語)は、「量子力学とは何か?」に答える挑戦の一つである。 すなわち、量子力学の観測・解釈問題の解決を目指す
- (A2)(=図の⑧) :
- 測定理論(=量子言語)は、世界記述の哲学(二元論的観念論)の最終形態である(大きな物語の終焉)
- (A3)(=図の⑨):
- 測定理論(=量子言語)は、科学哲学の一つの分野で統計学と量子力学を合わせたのと同程度以上に役に立つ理論である。
- (A2)(=図の⑧) :
を主張する。 もちろん、最重要の主張は「役に立つ(A3)」で、(A1)と(A2)は二義的な副産物である。重要さを順序付けするならば、
でしょう。 しかし、ブログ向きなのは(A2)なので、このブログの興味は(A2)の部分に集中します。 すなわち、
と思っています。 「世界記述の哲学=科学哲学」と考えるので、
がテーマとなります。 このブログで明らかにされることですが、これは、測定理論の視点からの
の検証・総括 とほぼ同じです。
このようなことが可能な理由は、第4(下)話「量子力学とは何か」に書きます。 また、(A2)の議論の中で、(A1)と(A3)の気分も自然と伝わるはずです。
最重要人物は、
等で、「量子言語」にとっては、誰一人として欠かせません。 通常は、
である(第54話「二元論・観念論に対する誤解」)
と思うのが普通でしょうが、このブログでは、
と主張する。
どの分野でも同じ事情と思うが、その分野を紹介している本は、さもその分野が非常に重要で、しかも今も大発展していて将来性も十分あるように書かれている。 もちろん、実際に発展している分野もあるだろう。 しかし、大抵は「もう既に終わった分野(オワコン)」もしくは「現在は発展が停止して将来的にも展望が開けてない分野」と思った方いい。 魅力的な分野がそこら辺にゴロゴロと転がっていると考えるのは楽観的過ぎる。 もちろん、誰もが知りたいのは、「現在は発展が停止していても、将来的には非常に有望な分野」であるが、これを見極めることは至難の技で、結局は、「やってみなければ、わからない」のかもしれない。 さて、このブログでの我々の興味は、停滞している次の三つの分野:
であるが、
と考える。
(D1)は、「20世紀は『量子力学の応用の時代』だった」という歴然たる事実が迷彩になっていて、量子基礎論の現状が見えにくくなっているが、やはり「量子力学の基礎の部分」は停滞していると考える。100年近く、「コペンハーゲン解釈」の意味が曖昧・不明のままで放置されている現状を直視すれば、停滞していると言わざるを得ない。 「波束の収縮問題」が未だに解決されていない(量子言語的解決は「射影仮説のページ」参照)、すなわち、
- 「フォン・ノイマン〈量子力学の数学的基礎(1932年)〉以来、一歩も進歩していない」
- 結局は「コペンハーゲン解釈とは、何か?」に答える
(D2)の「【科学】をテーマとする哲学」は悪くはなかった。 というより、 このテーマは、「西洋哲学の本流であり、しかも哲学の唯一のまともなテーマ」である。(このブログを読み進めれば了解してもらえることであるが、「このテーマ以外の哲学は結論が出るわけがない問題をああだこうだと雑談しているだけ」と思う。) しかし、「科学哲学」は数量的議論を回避して、悪い意味での哲学的考察(非数量的議論)に終始してしまったので、文芸的・教養的になってしまって、発展が停滞してしまった。事実、「科学と疑似科学の間の線引き問題」に興味を持っているまともな科学者など一人も知らない。科学哲学における最重要問題は、
- 哲学の本流であるデカルト・カント哲学と科学を繋げることであり、さらに、科学を記述するための特製の言語を作ること
(D3)は、もっと見えにくなっている。「統計学は最強の学問」で、 「諸科学とは、諸現象を統計学で記述すること」は一理あるにしても、統計学とは、統計的手法の寄せ集めのようなもので、その芯が見えない。 すなわち、
と考える。 たとえば、「統計学は数学なのか? または『別の何か』なのか?」とか、更に長年の問題である:
は未解決のまま放置されている。 また、
応用統学の目覚しい拡大的発展に反して、 統計学の基礎の部分は停滞していると言わざるを得ない。
- 統計学のするべきことは、数学の一分野からの独立であり、哲学の本流であるデカルト・カント哲学との合体である
もう一度念を押すと、上記の三つの分野(D1)-(D3)は停滞している。 しかし、内向きの研究姿勢では、スピード感も麻痺してしまって、停滞していることも実感できないのだと思う。
そうだとして、このブログの目的は、
すなわち、

意外と思うかもしれないが、「(D1)=⑦=(A1);、(D2)=⑧=(A2)、(D3)=⑨=(A3)」は、世界記述というくくりの中では同一問題である(共通の目的は、世界を記述すること)」ことに注意してもらいたい。 そして、この夢に対する検討を一般に広く促すことが、我々の目的となる。 とは言っても、小難しいことを書くつもりはないので、軽い気持ちで、
を薦めたい。 量子力学の予備知識も不要です。 測定理論(=量子言語)の主張(上の(D1)-(D3))は、
- 測定理論がわかれば、自然に統計学や古典力学や量子力学がわかる