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14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定

第14話
 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定 
運動;因果律;確率;測定;科学と疑似科学;線引き問題


ピタゴラス教団の主張の主張は次の通りであった( 第12話「ピタゴラス」参照):
 

(0): ピタゴラス教団の教義


科学(の基本精神)は、世界を数学を使って語ることである



これは間違ってはいないが(すなわち、現代的には当たり前のことで)、我々の知りたいことではない。 

数学だけで語るならば、数学になってしまうわけで、我々の知りたいことは、
(A): 世界を、「数学+α(アルファ)」で語るとして、この「α」は何か?

である。

以下に、「α」の進化の歴史を述べる 
運動

「運動」の重要さの発見は、ソクラテス以前のギリシャの3人の哲学者:
  • ヘラクレイトスの「万物は流転」
  • パルメニデスの「運動は存在しない」
  • ゼノンの「運動のパラドックス」
と思う。 
ヘラクレイトスの発言はわかりよすぎたかもしれない。 一方、パルメニデスはわかりづらいが、 運動の重要さを指摘したことには変わりない。 ゼノン(BC.490年頃 - BC.430年頃)はパルメニデスの弟子であるが、ゼノンのパラドックス(「飛ぶ矢は止まっている」、「アキレスと亀」等)で師よりも一般には有名かもしれない。

3人(ヘラクレイトス、パルメニデス、ゼノン)の主張は、 現代的には、
 

①: パルメニデス・ヘラクレイトス・ゼノン


科学(の基本精神)は、世界の運動・変化について語ることである。

 (第13話「パルメニデス」参照)



となる。

因果関係
「運動・変化①」は、ベーコン、デカルト、ニュートン等によって、「運動の根源は因果関係である」に昇華された。 すなわち、
 

②: 近代科学(前期)

科学(の基本精神)は、世界の因果関係について語ることである



この②こそ、近代科学誕生の宣言と見なしていい。C男( Causality;因果関係)は有頂天。

「因果関係の発見」は、 科学史上最大の発見で、
  • これ以後の科学の発展を決定付けた

と言ってもいいだろう。

因果関係と確率
近代後期から、「確率」概念の重要さが、一般に認識されて、上の②は、次の②'に自然発展した。
 

②': 近代科学(後期:古典力学的世界観(=統計学))

科学(の基本精神)は、世界を因果関係確率で語ることである。 すなわち、統計学で語ることである。


この古典力学的世界観(=統計学)は、 大成功を収めて現代まで継続している。 すなわち、古典力学的世界観(=統計学)は、
  • 現代科学に君臨している

と言ってもいいだろう。

したがって、この時点で(すなわち、古典力学的世界観(=統計学)を獲得した時点で)、世界記述法の分類は次のようになる。
(B): 世界記述法の分類{ 実在的世界記述法
言語的世界記述法
・・・物理学 
・・・統計学
 第6話「科学と統計学」の(F)参照

具体的に言うと、
  • 経済学とは、経済現象を統計学で記述することである。
  • 心理学とは、心理現象を統計学で記述することである
  • 脳科学とは、脳内現象を統計学で記述することである

等である。



因果関係と測定
しかし、量子言語の主張は


③: 量子言語(量子力学的世界観)


科学(の基本精神)は、世界を因果関係測定で語ることである。 すなわち、量子言語で語ることである



となる。
したがって、量子力学的世界記述法の優越性を信じるならば、世界記述法の分類は次のようになる。
(C): 世界記述法の分類{ 実在的世界記述法
言語的世界記述法
・・・物理学 
・・・量子言語
 第6話「科学と統計学」の(G)参照)。
具体的に言うと、
  • 経済学とは、経済現象を量子言語で記述することである。
  • 心理学とは、心理現象を量子言語で記述することである
  • 脳科学とは、脳内現象を量子言語で記述することである
  • 量子力学とは、量子現象を量子言語で記述することである

等である。

五つの形而上学的命題(0),①,②,②',③を、上のように並べて書いて、発展の経過を比較しなければ、2500年前の偉業「(0)と①」の価値はわかりませんね。 次の発展:
  • (0)⇒①⇒②⇒②'⇒③ 

を確認してもらいたい。
ただし、上では「因果関係」という言葉をかなり雑に使っています(第43話「因果関係とは何か?」参照)。



再度:このブログの目的

(B)と(C)の比較において、(C)の優越性を信じなければ、

が提示できないわけで、 したがって、このブログでは、
  •  (C)の優越性を信じて、世界記述のすべての哲学史の検証・総括 

をする(第6話「科学と統計学」の(E)-(H)参照)。



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念のために補足すると、
  • 科学とは何か? 

という問題に、「科学の定義」を期待したら、袋小路に嵌ります。 「科学の定義」など無理に決まっています。 もちろん、「らしい解答」ぐらいはあるでしょうが、もしあったとしても、それが科学者たちの興味を引き付けることはないでしょう。 科学者が知りたいのは、「科学の基本精神・記述法」です。 世界記述法の視点から、(科学と疑似科学の)線引き問題は自然解消されると期待したいですね。




科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)