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54:二元論・観念論に対する誤解

第54話
驚くべき仮説(DNA発見者:クリック)
二元論・観念論;心身二元論;;

さて、
二元論

  • 二元論とは、「我(心、脳)」を特別のものと思うことである



しかし、こう思うからと言って、

(A1):「精神・観念」と「物質」に別々の原理があるわけではない。
(A2):「我(心、脳」の働きが、「物質の原理」で解明不可能だからではない。
(A3):「精神・心・観念」が脳科学で解明できないということではない。

同じこと(A1)-(A3)を言ってしまったが、念を押したかったからです。

科学者の常識

驚くべき仮説
20世紀の科学はいろいろあるにしても、3つ挙げるとしたら
  • 相対性理論、 量子力学、 DNA二重らせん構造の発見(ワトソンとクリック)

でしょう。
クリックの著書「驚くべき仮説(The astonishing hypothesis)」の冒頭に,
You, your joys and your sorrows, your memories and your ambitions,your sense of personal identity and free will,are in fact no more than the behaviour of a vast assembly of nerve cells and their associated molecules.
つまり、
(A4):我々の心のいろいろな現象--喜び、悲しみ、記憶、志、自我、自由意志等--は非常に多くの分子と細胞の相互関係の表現に過ぎない
と述べている.

これは、
  • 「驚くべき仮説」というよりも「科学者の常識」

と思う。
もちろん, 
  • (A1)=(A2)=(A3)=(A4)

で、クリックは正しいに違いない. 念を押すと、「心の哲学」などない。 あったとしても、「雑談哲学」以上のものではないだろう。
もちろん、 雑談哲学(=自己言及の言葉遊びを楽しむ文芸的哲学)を全面否定するわけではない。 これを否定してしまったらほとんどの哲学を否定することになってしまうのだから。


第1話より抜粋

通常は、
 (B):  「二元論的観念論」など、科学が未発達の時代の妄想的産物で、現代的には歴史的・文献的意義しかない。 もはや、
  •  絶滅危惧種状態 

である。

と思うのが普通でしょうが、このブログでは、
(C):  「量子言語という二元論的観念論」が、現代科学の中心に居座っている

と主張する。


を思い出そう


もちろん、
(D):   「クリック(A)」と「量子言語(C)」は矛盾しない
なぜならば、
  • (A)は実在的二元論の否定で、(C)は観念的(=言語的)ニ元論 

だからである。

デカルト危うし

したがって、
  • (A)だからと言って、「デカルトは間違っていた」という結論は出てこない 

と頑張れないようでは、「方法序説を読んだ」などとは言えない。 と言いたいが、やはり、
  • デカルトの主張は、明快とは言えないかもしれない

デカルトは、実在的二元論を想定しているかもしれないからである。

しかし、二元論だって進化するわけで、
  • 我々の現代的到達点は、観念論的(=言語的)二元論である 

と考える。

観念論的二元論--量子力学の言語的解釈(=測定理論(=量子言語)のコペンハーゲン解釈)--とは、
  • デカルト図式を想定して、あらゆる現象を記述する

ことである。


つまり、
(E):人間の心のいろいろな現象は非常に多くの分子と細胞の相互関係に違いないが、その現象は、「物(=測定対象側)」の方に属する。そしてそれを記述する言語は量子言語である。 すなわち、
  •   「心の現象(=実在的現象)」も二元論的言語によって記述する  

である。


という主張なのだから、「クリックの主張」と「二元論」が対立関係にあるわけでない。
と言うより、「クリックの主張」を実現・達成するためには、二元論の量子言語による記述が不可欠ですね。

二元論は進化・発展する

そうだとしても、 「クリックの主張」と「デカルトの主張」が対立関係にあると誤解している科学者が多少なりともいるとしたら、
  • その責任は科学者側にあるのではなくて、 むしろ哲学者側にある

と思う。 多分、ウィトゲンシュタイン等による「言語論的転回」、すなわち、
(F):
\begin{align}
\Large \fbox{認識} \underset{ {言語的転回}}{\longrightarrow} \fbox{言語}
\end{align}
が、「掛け声倒れ」に終わってしまって、
「計算可能な形式をもつ言語」を獲得できなかったことだと思う(第83話「論考:ウィトゲンシュタイン」参照)
  • 言語哲学のすべきことは、「言語を作る」ことだけ
と思うのだが。

念の為、まとめておくと、
(G):
現象なんて、実在的物質的現象しかない。 (世界は一元論的)

しかし、その現象を記述するのは、二元論的言語である(理解は二元論)


となる。 測定理論(=量子言語)を知らなくても、大抵の科学者(ワトソンもクリックも)は、この(G)に何となく同意していると思う。 なぜならば、「確率」を使わない科学者は滅多にいないはずで、 しかも、
  •  「確率」は、試行者を想定している二元論的概念

だからである。

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現代的意味では、
  • 観念論とは、「言葉が先で、世界が後」という言霊信仰のこと

ですね。 そして、
  • なぜか、「観念論」と「二元論」は相性がいい

のです。 デカルトの二元論の復権ですね





科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)