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25(下):言語と数学;公理主義

第25(下)話
公理主義(カントールからヒルベルト...)

これ以降の都合で、ここで
  •  数学とは何か? 

を説明しておきたい。

いろいろな動物の生態を観察すれば,明らかなことであるが,言語のベースは,「威嚇・連帯・生殖」を起源とするはずで,言語は,人類が「明日まで命を繋ぐ」ために必死に考え出した
  • 生存・繁殖のための最強の武器
であった.
そういう時代が,何百万年も続いたのだと思う.もちろん,その間に,原始的な言語が,
  • 「リズム,歌」,「論理構造」,「数量概念」,「文法」,「時制」,「文字」、「人称」、「敬語、謙譲語」、 「男言葉、女言葉」
    (このブログ的には、「これらの中で、科学に不可欠(or, 不必要)なものはなにか?」、 もっとはっきり言ってしまうと、
    • 「時制」、「人称」は科学の記述に必要か否か?

    が我々の主要テーマ(というより、これこそ「科学哲学の主要テーマ」である)になる。 結論は意外で、「時制」は不要、「人称」は必要となる。)


等を取り込んで,日常言語へ発展したことは,「言語史」における最大級の事件であったが,進化論的発展であり,その貢献者の名前を特定することはできない.

数学─世界と断絶した言語体系


人類が「生存・繁殖」に多少の自信を持ち始めた数千年ぐらい前─農業の獲得の時期─に,日常言語の中の「数量概念」に異常に興味を持つ人々が出現してきた.その先駆者をピタゴラス(BC582年--BC496)─万物の根源は数である─としてもいいだろう.この流れは,ユークリッド(紀元前3世紀? - ), アルキメデス(BC287--BC212年),オイラー(1707年--1783年),ガウス(1777年--1855年)に繋がって,日常言語の中の「数量的部分」がどんどんと強化され,すなわち,数学的偉業がどんどんと蓄積された.

しかし,上述のように,言語は生存・繁殖を起源とするわけで,そうならば,

  • 日常言語が,数学を語るために都合よく作られていることなどは決してない

と気付いたのは,今から思えば,カントール(1845年--1918年)とフレーゲ(1848―1925)である.そうだからこそ,カントールは,

  • 数学を記述するための特製の言語─集合論(すなわち,「数学の根源は集合である」)─を作った

のだと思う.そして,これは,ヒルベルト(1862年--1943年)やゲーデル(1906年--1978年)に繋がって,現代数学の隆盛をもたらした. もちろん、
  •   数学には、「時制」、「人称」など無い
ことは注意しておこう。



しかし,ヒルベルトたちの功績─ヒルベルトの言葉「 点が椅子で,線が机でも構わない」が象徴するような数学の公理主義─によって,
  • 数学は、世界と独立した言語体系である

ことが露になったことは注意すべきである. したがって、下図の中には、数学の居場所がない。 すなわち、 数学で最大級の仕事をしたとしても下図(世界記述史)の中に、名前を刻むことはできない。


(A):世界記述主義


世界記述法から始めよ(=初めに、世界記述法ありき)
すなわち、
世界記述法(=言語体系)を先に宣言して、その下で、諸性質(「存在(=キーワード)」や「論理(=計算)」や「運動」等)を議論せよ。


そうだとしても,もちろん,数学を日常言語の一部と見なす習慣─たとえば,統計学・動的システム理論─は,便利で手軽な方法として,今後も廃れることはないだろう.


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数学サイドから見ると、フレーゲは有名というわけではありませんが、

(A):述語論理の計算法の確立、すなわち、
  •  「論理=計算」の発見 

が、(自然発生ではなくて)フレーゲに依る

のならば、論理学サイドで言われているように、フレーゲは「アリストテレス以来の大論理学者」で、しかも「アルキメデス以来の大数学者」でしょうね。しかし、数学サイドでは、(A)は認知されているのでしょうか? 述語論自体は、コーシーやワイエルシュトラス等の数学者たちには、当たり前のように(ブール代数の計算のように)使われていたわけですよね。 したがって、フレーゲの評価は未だ決着していないのでしょうね。
数学の4大発見は、

数学の4大発見


①:平面の発見(ピタゴラス、ユークリッド)
②:位取り記法(=ゼロの発見(インド人))
③:述語論理の計算法の確立(フレーゲ?)
④:集合の発見(カントール)


でしょうね(ここで、「⓪:自然数の発見」は殿堂入りとした)。

数学の公理主義とは、

  • 「a∈A」という記号の使い方の(十個程度の)ルールを定めて、それを公理として、それから演繹されるすべてを数学全体と考える数学観

のことである。 すなわち、

(B):【数学】=【集合論】= 【述語論理】 + 【記号'∈'】

と考えることで、これが「現代数学」です。 

そして、
  • 「論理学・数学」と「世界」を繋げるのが、「世界記述法」

なのだから、
  • 世界記述法なしの論理学・数学だけでは、世界について何も発言できない

のです(第16話:ゼノンのパラドックス)



科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)