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60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること

第60話
聖職者: バークリー
唯物論;唯心論;バークリー;第一次性質は単純であってほしい


繰り返し述べているように、世界記述法の分類は次のようになる(第4(下)話「言語ゲーム;量子言語」参照)。
(A):世界記述法の分類{ 実在的世界記述法
言語的世界記述法
・・・物理学 
・・・量子言語

言語論的記述法は、観念論の系譜である。 したがって、 世界記述の哲学には、
  • 唯心論、唯物論

等の言葉はない。 世界が物で出来ていることを、唯物論と言うならば、
  • 唯物論が正しいに決まっていて、異論などあるわけがない

からである。 表題に「唯心論」と書いてしまったが、これは「バークリー」の枕詞のようなもので、誰も説明できないと思う。 したがって、
  • 唯心論=「バークリーのトンデモ理論」

と思えばよい。

  •   神学者の仕事は、神を延命させること  
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西洋文化には必ず繰り返される慣習がある。

西洋文化の慣習

誰かか著しい「very good idea」を提案すると、 そのアイデアを使って、「神の存在証明」をしようとする。


キリスト教圏では、生まれたときに「洗礼」を受けて、徹底的に「神の存在」を刷り込まれているのだから、多少強引な「証明」でも受け入れられる風土が西洋文化にはある。


古い話ではなくて、「ゲーデルの不完全性定理(1930)」も、「人間・コンピュータの知」の不完全性を補うのが「神の知である」というように利用されることがある。 

そうならば、デカルト以降の神学者が、デカルトの偉業(=デカルト図式)、 すなわち、

を見逃すはずがない。
事実、
  • 神学者バークリー(1685-1753)は、デカルト図式に注目した

そして、下図を主張した

もちろん、
  •  こう主張しても、負けない 

はずである。 デカルトが保証したのは一義的には「我の存在」だけ(すなわち、「唯心論」)なのだから。 
つまり、
(A):バークリーの主張


バークリーの考えは、

  • ロックの「第一次性質」などはない。 あったとしても、それはだけである。 そして、「第二次性質」としていろいろな形態で、知覚されているのだ

である。


さて、
  • 真の姿(第一次性質)は可能な限り単純化・一本化したい。 この世界が複雑に見えるのは、「第二次性質」の多岐にわたるバリエーションに因る

と考えることは、一理ある。  というよりも、この信念は、パルメニデスの「『一』しかない」以来の西洋哲学の伝統であり、実は、測定理論もその精神の下に、
(B)状態を一つ固定して、観測量のバリエイションで処理することが可能である。
これならば、 (A)=(B)であり、そして、
(C): 存在するとは知覚されることである
(ラテン語"Esse is percipi"、エッセ・イス・ペルキピ、英語“To be is to be perceived”)などともっともらしいことを言えば、「『神の存在』や『唯心論』を主張しても、頑張りきれる」とバークリーは思ったに違いない。 事実、「頑張り切れる」と思う。
この時点で、「バークリー」が付け加えられて、次の対応表が得られたと考えたい(
 第22(下)話「プラトンとアリストテレスの融合」参照
 (C):対応表:イデア論・アリストテレス・デカルト・ニュートン・ロック・バークリー・カント・統計学・量子言語
第2(下)話「世界記述主義」の(E)参照
イデア論現実界 イデア界 /
アリストテレス/   /      形相(質料)
スコラ哲学後の普遍 前の普遍 内の普遍
デカルト心・我 身体・感覚器 (物)
ニュートン/  / 状態(物=質点)
ロック/ 第二次性質 第一次性質
バークリー測定値 第二次性質
カント現象 知覚 物自体
統計学標本   / パラメータ(母集団)
量子力学測定値 観測量・測定器 状態(粒子)
量子言語測定値 観測量・測定器 状態(システム)

神学者の立場からの主張にとやかく難癖をつけても仕方がないが、世界記述の観点からは、
  •  【デカルト図式】  【バークリー図式】 

は退化・劣化した。 
  •  【デカルト図式】の向かうべき方向は、計算可能な形式であるべき

と思うからで、そうでなければ、「ニュートン力学」に対抗できるはずがないからである。


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「バークリーの唯心論」はあまりにもバカバカしいので、「このページは書かないという見識」があってもよかった。 しかし、書いてしまった以上、次を注意したい

(D1): 「存在するとは、知覚されることである」とは、「測定者がいなければ何も言えない」を意味していて、量子力学(ボーアのコペンハーゲン解釈)の神髄の言葉である。 いわゆる、言語的科学観である。

逆の主張は、アインシュタインの「月は見ていなくても、存在する」である。 つまり、 測定者(=人間)がいなくても物理学(相対性理論)は成立するである。 いわゆる、 実在的科学観である。
2500年間を通して哲学論争なんて、結局、下表しかない:



科学哲学(二元論的観念論)

量子言語(=測定理論)は、統計学と量子論を合わせた程度の強力な記述力を有する言語である。 量子言語の習得には、いろいろなアプローチの方法があっていい。 このブログでは、数物には関わらず、哲学【二元論的観念論】をメインに量子言語を紹介して、西洋哲学史の本流は常に量子言語に向かって進歩してきたことを確認する。ブログとは、一旦書いてしまうと、訂正するのが億劫になるものである。 したがって、本ブログと大幅な変更があるわけではないが、現時点での正式バージョンは【Western philosophy(PDF)】を見よ。

目次

  • 0:【Home】リンク付き目次(スマホ利用者用)
  • 1:量子力学の観測・解釈問題の解決
  • 2(上):科学哲学とは? (形而上学;統計学;量子力学)
  • 2(下):世界記述(至上)主義
  • 3(上):1+1=2:発明王エジソン;形而上学
  • 3(中):論理実証主義と形而上学
  • 3(下):ケルヴィン卿の形而上学
  • 4(上): 測定理論(=量子言語); 世界記述法の分類
  • 4(中):ソーカル事件の「脱構築」
  • 4(下)論考、知の欺瞞、量子言語
  • 5:古典力学的世界観;量子力学的世界観
  • 6:科学と統計学;量子言語;
  • 7:赤い糸 : 量子力学の観測と因果関係
  • 8:運命の量子的出会い(観測と因果律)
  • 9:コペンハーゲン解釈は虚構;因果と測定
  • 10: $[$一元論、二元論$]$×$[$実在論、観念論$]$
  • 11:離別の予感(測定と因果)
  • 12:ピタゴラス(万物は数)
  • 13:パルメニデスとヘラクレイトス;運動・変化
  • 14: 科学とは何か? 運動;因果律;確率;測定
  • 15:パルメニデスの理屈っぽさ: ゼノンのパラドックス
  • 16(上):ゼノンのパラドックスは未解決問題
  • 16(補): ハジキの公式:形而上学的命題
  • 16(中):「アキレスと亀」は未解決問題
  • 16(下): ゼノンのパラドックスの必然性
  • 17(上):存在論(パルメニデス)
  • 17(下):存在とは何か?(パルメニデス)
  • 18(上):[人気No.3]哲学は進歩したか?
  • 18:無知の知:ソクラテスの詭弁
  • 19:人間は万物の尺度:プロタゴラス×ソクラテス;倫理哲学
  • 20:イデア論:プラトンの詭弁
  • 21(上):プラトンのイデアは絶対基準・測定器のこと
  • 21(下): 西洋哲学はプラトンの脚注
  • 22(上):万学の祖アリストテレス;形相,質料
  • 22(下): プラトンとアリストテレスの融合;スコラ哲学
  • 23(上):アリストテレスの目的因
  • 23(下):三段論法を信じますか? アリストテレス
  • 23(補):必要条件と十分条件
  • 24(上):アリスタルコス(古代の地動説);アルキメデス
  • 24(下):アリスタルコス:古代の地動説
  • 25(上):ユークリッド幾何学--平行線の公準
  • 25(下):言語と数学;公理主義
  • 26:エラトステネス:古代最大の測定者
  • 27:総括〈ギリシャ vs.アレクサンドリア〉
  • 28:天動説(プトレマイオス)
  • 29:古代科学の三つの集大成
  • 30:アウグスティヌスとプラトン哲学
  • 31:アウグスティヌスと時間論;告白
  • 32:十字軍:イスラム文化(アリストテレス)の流入
  • 32.5: 位取り記数法(アラビア数字;ゼロの発見)
  • 33:神の存在証明(アンセルムス);スコラ哲学
  • 34:普遍論争と「存在・実在」;スコラ哲学
  • 36:[人気No.5]オッカムの剃刀(節約の原理)
  • 37:パラダイムシフト;コペルニクスとニュートン
  • 37(中):プラトンとアリストテレス;アテナイの学堂
  • 37(下):帰納主義;イドラ;ベーコン;経験論の祖
  • 38:天動説から地動説へ
  • 39:地動説・天動説とは、何か?
  • 40:ガリレオと地動説;ピサの斜塔;裁判
  • 41:ガリレオからニュートンへ
  • 42:プリンキピアと地動説
  • 43:因果関係とは何か?
  • 44:実在的因果関係(物理学)
  • 45:認識的因果関係(ヒューム・カント)
  • 46:数学的因果関係(ピタゴラス教団)
  • 47:言語的因果関係
  • 48:我思う、 ゆえに我在り(方法序説:デカルト)
  • 49:コギト命題からデカルト図式へ
  • 49下:物心二元論・心身二元論
  • 50:オカルト図式?
  • 52:中二病(デカルトの懐疑)
  • 53:世界記述と非ユークリッド的転回
  • 54:二元論・観念論に対する誤解
  • 56:ジョン・ロック$[$人間知性論$]$タブラ・ラーサ
  • 57:イギリス経験論の祖:ジョン・ロック;第ニ次性質
  • 58:大陸合理主義:ライプニッツ; 生得説
  • 59(上):日常言語はイギリス経験論的
  • 59(下):量子言語はカント哲学的
  • 60:唯心論:バークリー;存在するとは知覚されること
  • 61:懐疑主義:ヒューム
  • 62:実在的世界記述法と言語的世界記述法
  • 63:量子力学の道具主義化
  • 64:ライプニッツ・クラーク論争; 時空とは何か?
  • 65:コペンハーゲン解釈
  • 66:原点回帰:再びパルメニデスへ
  • 67:マクタガートのパラドックス:時間論:時制
  • 68:アウグスティヌスの時間論:主観的時間
  • 70:カント:二律背反(アンチノミー)
  • 71:「我思う、ゆえに我あり」を疑う
  • 72:カントの物自体; 模写説から構成説
  • 73:コペルニクス的転回;純粋理性批判
  • 74:純粋理性批判; アプリオリな総合判断;超越論的観念論
  • 78:カント登場の必然性
  • 78(補): 功利主義;ベンサム;最大多数の最大幸福
  • 79(上): ラプラスの魔:ゼノンのパラドックス
  • 79(下): ホーキング博士の哲学批判
  • 80:カントール:集合論
  • 80(下):空集合と選択公理
  • 81:数理論理学:数学のような、哲学のような
  • 82:弁証法という諺:ヘーゲル
  • 825: プラグマティズム(実用主義)のジレンマ
  • 83:論理哲学論考;ウィトゲンシュタイン
  • 84:言語論的転回;言語哲学
  • 86: 量子力学の解釈とは何か?
  • 88:量子言語の記述力;言語ゲーム;語りえぬもの;ウィトゲンシュタイン
  • 88.5:[人気No.1]心身問題の解決
  • 89: ボーア × アインシュタインの量子力学論争
  • 90: 二つの量子力学
  • 91: 数学の三大発見
  • 92: フォン・ノイマン;量子力学
  • 93: アリストテレス、ライプニッツ、フォン・ノイマン
  • 94: 確率の歴史
  • 95:確率の哲学: 確率とは何か?
  • 96: 確率論 vs. 量子言語
  • 97: 確率論: 二元論の消去
  • 98: 主観的時間; 科学哲学論争
  • 99: フィッシャーの最尤法
  • 100: 科学哲学の大きな物語の終焉
  • 補101:測定・推定・制御の科学哲学
  • 補102:ベイズ統計・ベイズの定理
  • 補103: 確率論と統計学
  • 150:量子力学再入門: ヒルベルト空間法
  • 152:エルミート行列のスペクトラル分解:量子力学再入門
  • 154:スピン:量子力学再入門
  • 156:ハミルトニアンの量子化:量子力学速習
  • 158:同時測定と可換条件:量子力学再入門
  • 160:ド・ブロイのパラドックス:量子力学再入門
  • 162:EPRパラドックス:量子力学再考
  • 164ベルの不等式:量子力学再考
  • 166:[人気No.4]ハイゼンベルグの不確定性原理はキャッチコピー
  • 168:EPRパラドックスの結末
  • 170:ハイゼンベルグの不確定性原理とEPRパラドックスは矛盾?
  • 174:[人気No.2]射影仮説:波束の収縮
  • 176:量子デコヒーレンス
  • 178:ハイゼンベルグ描像
  • 180:正準交換関係の不確定性関係
  • 182:行列のトレース
  • 184:ベルトランの逆説
  • 190:全射・単射・全単射
  • 192:」単射(順列)・全単射(スターリング数)
  • 500:量子言語入門(大学院講義ノート)